古稀過ぎてそぞろ歩きの街中に ふとよみがえる青春の日(4回生:原田 浩)( 2016.11.10 )

65 才まで働き続けた後、やっと「サンデー毎日生活」になり、ある意味のんびり暮らしている今日この頃 です。楽しみと言えば仲間と共にハイキングに行ったり、一人で街中を歩きまわったり、夜になればいろ んな環境でお酒を楽しんだり・・・、ぐらいの、平々凡々な生活を送っています。

そんなある日、月一度の定例ハイキングのグループとともに、千葉県の山 武市へ出かけ、JR 成東駅から歩き出してすぐの浪切不動院というお寺を見 物させて貰ったところ、中庭に写真のような石像がありました。ご覧のように 「無事、若、かえる」てな惹句がついていました。無病息災と若返りを祈念す る象徴のつもりでしょうが、これを見た瞬間、私の頭の中は即座に 60 年ほど 若返り、中学・高校時代に戻ってしまったのです。

というのも60年前の大手前中学・高校時代、一番印象に残り、影響を受け、 尊敬していた先生が生物の教師、和気俊郎先生だったからです。先生のおかげで生物、とりわけチョウ チョをはじめとする昆虫が好きになり、先生に連れられて生物部の仲間達と一緒に自転車を駆ってあち こちの山へ出かけ、虫取りに励みました。象頭山、我拝師山に始まって、雲辺寺山、大川山、大滝山・・・、 さらには梶ヶ森、赤石山、石鎚山などなど。

出かける時に集合するのが和気先生のご自宅。当時は善通寺市木徳町にあったご自宅に、自転車で お邪魔すると、美人の奥方様がご長女の士緒ちゃんを抱いて出迎えて下さいました。お庭にはクマガイ ソウやらサクラソウ、キンラン、ギンランなど珍しい植物が所構わず植えられており、それらを眺めるのも 楽しみの一つでした。

山へ登ればチョウチョ採り。金比羅神社の奥の象頭山でオオムラサキやイシガキチョウやアオバセセリ を採ったり、雲辺寺山ではクロコノマチョウ、梶ヶ森ではウスバシロチョウ、近くの法勲寺のクヌギ林でア カシジミ、ウラナミアカシジミなど、・・・思い起こせば切りがありません。

そんな、和気流の薫陶を受けて大手前から巣立った後は、心に憧れを抱 きながらも先生にはなかなかお会いする機会を作れず、たまの故郷での同 窓会の時などにお目にかかって 2、3 お言葉を頂くぐらいでしたが、肝心の ムシ好き、生物好きの性格はますます募り、大学時代も東京の同好会に入 って活躍し、就職後も折を見てチョウチョの写真撮りに興じ、古稀過ぎの今 もチョウと聞いたら途端に目が輝くのです。今年も 5 月に南アルプスなどで クモマツマキチョウやらヒメギフチョウやらを観察しました。その時のヒメギ フチョウの写真をご覧ください。

多大なる教えを頂いた和気先生は残念ながら幽明境を異にされましたが、たまたま東京での大手前の 同窓会で当時の生物部員たちと歓談していたところ、「和気先生を偲んで旧生物部員が集まり、先生の お墓参りと共に懐かしい故郷で生物観察ツアーをやろうよ」てな話になり、今年の 7 月にその第 1 回集会 をやったのはご存じの通りです。今後も毎年この種会合を継続し、故和気俊郎先生の偉業を偲ぶととも に、仲間同士の親睦を深め、かつ生物に対する興味を持ち続けよう、と思っている次第です。

それなら観察ツアーは地元四国のみならず、東京地区でもやろうじゃないか! と名案を出す仲間が 居り、やがてそのうち実現するのじゃないかな? と期待しています。楽しみですねぇ。

といった所で、懐かしの和気先生の想い出話が出来ました。あ、読み返してみてただ一つ、なんで最初 にカエルの話が出て来るの? と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょうね。実は・・・、と解説し始めよ うかと思いましたが、思い返してここで筆を擱きます。だって、和気先生とカエルとの関係は、知る人ぞ知 る、知らない人に敢えて説明するのは「ヤボの骨頂」じゃ、とわがうちなる神様が仰られるからです。疑問 に思われる方は一度カットのカエルの写真を、じっくり眺められては如何でしょう。

詳しくはPDFで>